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組織再編の税制適格・非適格とは|なぜ課税される場合とされない場合があるのか

組織再編の適格・非適格とは|課税される場合とされない場合のイメージ

合併や株式交換を用いて経営管理ビザの資本金要件に対応しようとするとき、会社法上の手続と並んで必ず検討しなければならないのが、法人税法上の「適格・非適格」である。

同じ合併でも、適格であれば課税は生じず、非適格であれば消滅会社の含み益に法人税が課される。

この違いは資本金の額そのものを左右するわけではないが、多額の課税が生じて会社が債務超過に陥ると、経営管理ビザの更新審査における「事業の継続性」の判断に影響しうる。

入管の審査は自己資本比率のような財務指標ではなく、債務超過に陥るか否かを一つの分かれ目としているため、この点の理解が実務上重要となる。

本記事では、適格・非適格の制度を、要件の暗記ではなく「なぜこの制度があるのか」という趣旨から解説する。

この趣旨を一本の軸として押さえれば、複雑に見える3類型の要件が一つの論理で理解できる。

目次

結論:適格なら課税なし、非適格なら課税

まず結論から述べる。

  • 適格組織再編:資産を帳簿価額のまま引き継ぐ。課税は生じない(課税の繰延べ)
  • 非適格組織再編:資産を時価で移転したものとして扱う。含み益に法人税が課税される

たとえば、消滅会社が簿価1,000万円・時価4,000万円の土地を持っている場合を考える。

適格であればこの土地は簿価1,000万円のまま存続会社に引き継がれ、課税はない。

非適格であれば時価4,000万円で譲渡したものとされ、差額3,000万円の含み益に法人税が課される。

この違いがどこから来るのかを理解するのが、本記事の目的である。

なぜこの制度があるのか——「投資の継続」という一本の軸

原則:組織再編は「資産の譲渡」である

法人税法の原則では、資産を移転すればその時点の時価で譲渡したものとして、含み益に課税する。

合併で消滅会社の資産が存続会社に移るのも、形式的には「資産の譲渡」にほかならない。

したがって原則どおりなら、組織再編のたびに含み益へ課税されることになる。

しかし、それでは不合理な場合がある

ところが、組織再編の多くは、実質的には投資が継続しているにすぎない

たとえば、消滅会社の株主が、対価として存続会社の株式を受け取る合併を考える。

この株主は、合併前は消滅会社に投資していた。合併後は存続会社に投資している。

投資先の器が変わっただけで、その株主の投資そのものは途切れず続いている。

会社の資産も、消滅会社から存続会社へ器が変わっただけで、事業に使われ続けている。

現金を受け取って投資を清算したわけではないのに、含み益へ課税してしまうと、納税資金がないのに税負担だけが生じ、組織再編そのものが妨げられてしまう。

だから「投資が継続している」場合は課税を繰り延べる

そこで法人税法は、実質的に投資が継続していると言える場合に限り、課税を繰り延べるという制度を設けた。

これが適格組織再編である。

課税を「免除」するのではなく「繰り延べる」点が重要である。

引き継いだ資産を簿価のまま保有し続け、将来その資産を実際に売却したときに、繰り延べられていた含み益がまとめて課税される。

税金が消えるのではなく、課税のタイミングが将来に先送りされるだけである。

この「投資が継続しているか」という一点が、適格・非適格を分けるすべての要件の背後にある軸である。

以下の要件は、すべてこの軸から導かれる。

要件が3類型に分かれる理由

適格合併となる類型は、法人税法第2条第12号の8が3つ定めている。

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類型関係条文
① 完全支配関係100%グループ内法2条12号の8イ
② 支配関係50%超100%未満グループ内法2条12号の8ロ
③ 共同事業資本関係のない当事者間法2条12号の8ハ

なぜ3つに分かれるのか。ここでも「投資の継続」の軸で説明できる。

支配が強いほど、投資の継続は明らかである。

100%の親子関係にある会社同士の合併なら、合併の前後で最終的な投資家は変わらず、投資が継続していることは疑いようがない。だから①完全支配関係では、求められる要件が最も少ない。

支配が弱くなるほど、投資が継続しているかを確認する必要が増す。

資本関係のない他人同士の合併(③共同事業)は、経済的には「他社を買収した」のに近く、投資が継続しているとは言い切れない。そこで、投資の継続を担保するための追加要件が数多く課される。

整理すると、支配関係の強さと要件の数は反比例する。

① 完全支配関係(100%) 要件:少ない(金銭等不交付+支配継続)
② 支配関係(50%超) 要件:中程度(①+従業者引継・事業継続)
③ 共同事業(資本関係なし) 要件:多い(②+事業関連性・規模or経営参画・株式継続保有)

経営管理ビザ案件で、資本関係のない会社を株式対価で合併して資本金を作る場合、当てはまるのは最もハードルの高い③共同事業要件である。

すべてに共通する絶対条件——金銭等不交付要件

3類型のいずれであっても、共通して満たさなければならない絶対条件がある。

それが金銭等不交付要件である。

法人税法第2条第12号の8柱書は、適格合併を「被合併法人の株主等に合併法人株式又は合併親法人株式のいずれか一方の株式以外の資産が交付されない」合併に限っている。

すなわち、消滅会社の株主に現金その他の財産を交付すると、原則として非適格になる

これも投資の継続の軸から説明できる。

株主が現金を受け取れば、その株主の投資はその時点で清算されている。

投資が継続していないのだから、課税を繰り延べる理由がない。

したがって、対価は株式のみでなければならない。

例外:交付しても非適格とならない金銭

ただし、次の金銭は交付しても金銭等不交付要件に抵触しない(法2条12号の8柱書かっこ書等)。

  • 剰余金の配当等として交付される金銭
  • 合併に反対する株主の買取請求に応じて交付される金銭
  • 合併の直前に合併法人が被合併法人の発行済株式の3分の2以上を保有する場合に、それ以外の少数株主に交付される金銭(少数株主のスクイーズアウトのための対価)

これらは、投資の継続という趣旨を損なわない範囲で認められた例外である。

会社法の対価柔軟化との関係

会社法上は、合併対価として現金を交付すること(交付金合併)も適法である。

しかし会社法で適法であることと、税務上適格であることは別問題である。

現金対価は会社法上は有効に成立するが、税務上は非適格となり課税が生じる。

会社法と税法を別の軸として同時に検討する必要があるのは、この点による。

共同事業要件の中身

経営管理ビザ案件で問題となる③共同事業要件を、個別に見ていく。

法人税法施行令第4条の3第4項が定める要件は次のとおりである。

① 事業関連性要件

被合併法人の事業と合併法人の事業に関連性があること。

まったく無関係な事業同士の合併は、共同で事業を行うとは言えないため、適格とならない。

実務上の判定基準は法人税法施行規則第3条が定めており、国税庁は事務所の存在、従業者の存在、許認可の取得などの外形的事実によって事業の実在性を判定するとしている。

なお、持株会社(ホールディングス)と事業会社の合併について、国税庁は、持株会社が子会社グループの経営管理業務を行っており、事業会社がその経営管理により事業活動を継続・維持している場合には、両者の事業に関連性が認められるとの質疑応答事例を公表している。

経営管理ビザ案件でホールディングス構造を用いる場合に参考となる。

② 事業規模要件 または 経営参画要件(選択要件)

次のいずれか一方を満たせばよい。

①事業規模要件:被合併事業と合併事業の規模(売上金額、従業者数、資本金額のいずれか一つの指標)の割合がおおむね5倍を超えないこと。国税庁通達は、これらの指標のいずれか一つが5倍以内であればよいとしている(すべてを満たす必要はない)。

経営参画要件:合併前の被合併法人の特定役員(社長・副社長・代表取締役・専務・常務等またはこれらに準ずる者)のいずれかと、合併法人の特定役員のいずれかが、合併後の合併法人の特定役員となることが見込まれていること。

規模がかけ離れた会社同士の合併では、事業規模要件(5倍以内)を満たせない。

この要件は、繰越欠損金を持つ小規模な会社を器として黒字の会社を取り込むといった租税回避を防ぐ趣旨のもので、どちらが合併法人・被合併法人かを問わず、両者の規模の比が大きすぎる合併に歯止めをかけるものである。

もっとも、両要件は選択関係にあるため、規模要件を満たせない場合でも、消滅会社の経営者が存続会社の役員に就任すれば経営参画要件で代替できる。

経営管理ビザ案件では、いずれの要件も満たしやすい。

A社とX社がいずれも同程度の規模であれば、規模の比は5倍以内に収まり、事業規模要件をそのまま満たせる場面が多い。

仮に規模がかけ離れていても、消滅会社の元オーナーが存続会社の役員となる設計が通常であるため、経営参画要件で確実に代替できる。

③ 従業者引継要件

被合併法人の従業者のおおむね80%以上が、合併後に合併法人の業務に従事することが見込まれること。

④ 事業継続要件

被合併法人が合併前に営んでいた主要な事業が、合併後も合併法人において引き続き営まれることが見込まれること。

⑤ 株式継続保有要件

被合併法人の株主で、合併により交付を受ける合併法人株式の全部を継続して保有することが見込まれる者が有する被合併法人株式の数が、被合併法人の発行済株式総数の80%以上であること。

この要件については、次の3点が実務上重要である。

  • 保有を求められるのは消滅会社の株主である
  • 消滅会社の株主が50人以上の場合は、この要件は課されない
  • 保有期間の定めはなく、合併時点での「見込み」で判定する

最後の点は誤解が多い。

「5年間保有すれば適格になる」という期間ルールではない。

合併の時点で売却の予定・合意があれば、実行が何年後であっても見込みは否定され非適格となる。

逆に、合併時に予定がなく、後日の事情変更で売却に至った場合は、遡って適格性が覆ることはない。

非適格になると何が起きるか(手法別)

非適格となった場合の課税は、組織再編の手法によって現れ方が異なる。

ここが実務上、混同されやすい。

合併・会社分割の場合

消滅会社(分割会社)の資産が、時価で譲渡されたものとして扱われる。

含み益に法人税が課税される。

加えて、消滅会社の株主にみなし配当課税が生じる場合がある。

法人格が消滅する(または事業が切り出される)ため、資産そのものが移転する点が課税の根拠となる。

この法人税は、合併の時点で消滅会社の未払法人税等という負債として立つ。

存続会社が承継する株主資本等変動額(=資産から負債を差し引いた正味財産)は、この負債を織り込んだ後の額となる。

つまり課税の影響は、資本金計上額から事後的に差し引かれるのではなく、株主資本等変動額を算定する段階で負債として既に反映されている。

課税と資本金計上は別の会社で起きる別個の計算であり、時間的な前後関係にあるわけではない。

株式交換・株式移転の場合

こちらは法人格が存続するため、資産の移転自体がない。そのため課税の現れ方が異なる。

非適格株式交換等の場合、株式交換完全子会社が保有する一定の資産(時価評価資産)について、評価益または評価損を計上する法人税法第62条の9)。

課税されるのは子会社であり、親会社ではない。

時価評価の対象は固定資産、土地、有価証券、金銭債権、繰延資産等であり、帳簿価額1,000万円未満の資産などは対象から除外される。

営業権(自己創設のれん)は帳簿に計上されていないため対象とならず、実際の課税額が想定より小さくなることもある。

手法による違いの整理

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手法非適格時の課税課税される主体
合併資産の時価譲渡+みなし配当消滅会社・その株主
会社分割資産の時価譲渡分割会社
株式交換・株式移転時価評価資産の評価損益課税完全子会社

適格でも繰越欠損金は無条件に引き継げない

「適格合併なら消滅会社の繰越欠損金をすべて引き継げる」と誤解されることがあるが、正確ではない。

適格合併により被合併法人の繰越欠損金(未処理欠損金額)を合併法人が引き継ぐことは可能である(法人税法第57条第2項)。

しかし租税回避(欠損金の売買)を防ぐため、一定の場合には引継ぎに制限が課される(法人税法第57条第3項、法人税法施行令第112条)。

具体的には、次のいずれにも該当しない場合に、制限を受ける。

  • 被合併法人と合併法人との間に、合併事業年度開始の日の5年前の日から継続して支配関係がある場合
  • みなし共同事業要件を満たす場合(法人税法施行令第112条第3項)

つまり、支配関係が生じてから5年以内の合併で、かつみなし共同事業要件も満たさない場合には、支配関係発生前に生じた欠損金や一定の含み損の利用が制限される。

なお「みなし共同事業要件」は、適格判定における共同事業要件と類似するが同一ではない。

事業関連性要件に加え、事業規模要件(かつ規模継続要件)または経営参画要件を満たす必要があり、適格判定の共同事業要件にはなかった規模継続要件等が加わる点に注意を要する。

「欠損金の器」で黒字会社を飲み込む場合も制限される

ここで実務上見落とされやすいのが、制限の「方向」である。

上記57条3項が制限するのは、被合併法人から引き継ぐ欠損金である。

では逆に、繰越欠損金を持つ会社(合併法人)が黒字会社(被合併法人)を合併し、合併法人が自社の欠損金で合併後の利益を相殺する場合はどうか。

この場合、被合併法人の欠損金を引き継ぐわけではないため57条3項の対象外となるが、まさにこの「欠損金の器で黒字事業を飲み込む」類型を封じるため、法人税法第57条第4項という対称的な制限が置かれている。

同項は、支配関係が生じてから5年以内で、かつみなし共同事業要件を満たさない適格合併等の場合に、合併法人自身の支配関係発生前に生じた繰越欠損金の使用を制限する。

あわせて、合併法人が支配関係前から保有していた資産の含み損の損金算入も制限される(特定資産譲渡等損失、法人税法第62条の7)。

つまり、被合併法人の欠損金を引き継ぐ場合(57条3項)も、合併法人自身の欠損金を使う場合(57条4項)も、要件は対称的であり、いずれも5年超の支配関係の継続、またはみなし共同事業要件の充足が求められる。

「赤字会社を器にして黒字会社を合併すれば自由に欠損金を使える」というものではない。

なお、これらはいずれも適格合併であることが大前提であり、その適格性の絶対条件として金銭等不交付要件がある。

したがって、欠損金の引継ぎ・使用のいずれを狙う場合も、対価は原則として株式のみでなければならない。

現金を交付すれば非適格となり、欠損金の活用以前に、被合併法人の資産に時価譲渡課税が生じる。

繰越欠損金の引継ぎ・使用を目的の一つとして合併を設計する場合は、これらの制限の該当性を個別に確認する必要がある。

加えて、租税回避目的が露骨な場合には、組織再編に係る行為計算の否認(法人税法第132条の2)の対象となるリスクもある。

経営管理ビザ案件との接続

以上を、経営管理ビザ実務の観点から整理する。

資本関係のない会社を株式対価で合併し、時価純資産を基礎に資本金3,000万円を計上する

——このスキームの税務上のポイントは次のとおりである。

適格性の判定は共同事業要件で行う

資本関係がないため、①完全支配・②支配関係には当たらず、最もハードルの高い③共同事業要件を満たす必要がある。

経営参画要件は満たしやすい

消滅会社の元オーナーが存続会社の役員に就任する設計であれば、事業規模要件を満たせなくても経営参画要件で代替できる。

株式継続保有要件に注意する

元オーナーが合併後すぐに株式を手放す予定があると、この要件を満たせず非適格となる。

なお、A・X双方の経営者が親族関係にある場合や、同一人が既に両社を保有している場合は、そもそも共同事業要件ではなく完全支配関係・支配関係(法2条12号の8イ・ロ)で適格性を判定することになる。

国税庁も、甲・乙という親族がそれぞれ別の会社を保有している場合に、個人及びその親族等を「一の者」として完全支配関係を判定し、当該合併が適格に該当するとの照会事例を公表している(法人税法施行令第4条の2第2項)。

この場合、共同事業要件のような多数の要件を満たす必要はないが、その代わり会計上は共通支配下取引として簿価ベースとなり、時価による資本金計上ができない点に注意を要する(株主資本等変動額の解説記事を参照)。

非適格でも資本金の計上余力はむしろ確保しやすい。

ここは誤解されやすい。

非適格の場合、消滅会社の含み益に課税され、その法人税は未払法人税等という負債として立つ。

存続会社が承継する株主資本等変動額は、この負債を引いた後の額になるため、課税分だけ小さくなる。

しかし、非適格で受け入れる資産は簿価ではなく時価であり、時価という大きな出発点から税額を引いても、簿価ベース(適格の場合の計上額)を下回るとは限らない。

むしろ含み益のある会社では、税引後の時価ベースのほうが簿価ベースより大きくなることが多い。

したがって、資本金3,000万円を積めるかどうかという一点では、非適格を過度に恐れる必要はない。

実害は資本金ではなく資金繰り、そして「債務超過」への影響に出る。

非適格の本当の問題は、資本金の額ではなく現預金である。

含み益が土地などの非現金資産に生じている場合、課税額に見合う現金を別途用意して納税しなければならない。

納税により会社の手元資金が流出し、利益剰余金が痛む。

資本金の額は登記上維持されても、事業の運転資金は削られる。

そして、この資金流出が問題となるのは、それによって会社が債務超過に陥る場合である。

経営管理ビザの更新審査における「事業の継続性」の判断枠組み(入管庁ガイドライン「経営・管理の在留資格の明確化等について」)は、自己資本比率や現預金対負債比率のような連続的な財務指標を用いるものではなく、債務超過に陥っているか否かを主要な分かれ目としている。

ガイドラインは直近二期の決算状況に応じ、おおむね次のように取り扱うとしている。

  • 欠損金がなく剰余金がある場合:継続性に問題なし
  • 欠損金はあるが債務超過でない場合:事業計画書等の提出により原則として継続性を認める
  • 直近期末は債務超過だが直近期前期末は債務超過でない場合:1年以内に債務超過を解消する見通しを条件に継続性を認める
  • 直近期末・直近期前期末とも債務超過の場合:原則として継続性を認めない(新興企業の例外あり)

したがって、非適格による課税で純資産が減っても、債務超過ラインを割らなければ、この枠組み上ただちに継続性が否定されるわけではない。

逆に、課税により債務超過に陥る、あるいは既存の債務超過を深める場合には、更新審査に直接影響する。

株式交換では審査対象会社そのものが課税される。

さらに注意を要するのが株式交換のケースである。

非適格株式交換では課税されるのが完全子会社である。

子会社の元オーナーが子会社の代表として経営管理ビザを維持する構成では、審査対象は子会社の資本金と事業実体であるから、子会社自身が課税で債務超過に陥れば、更新審査に直接影響しうる。

したがって、非適格を検討する場合に確認すべきは、資本金が積めるかではなく、納税資金を手当てできるか、課税後も債務超過に陥らないかである。

なお、適格・非適格は税務上の資産の引継ぎ方の問題であり、会社法・会社計算規則上の資本金計上額とは別の軸である。

適格合併であっても、登記上の資本金は時価ベースで計上できる。

この会計と税務の分離については、株主資本等変動額の解説記事で詳述している。

まとめ

  • 適格なら課税なし(繰延べ)、非適格なら含み益に課税という違いがある
  • この違いを貫く軸は「投資が継続しているか」の一点である
  • 要件が3類型(完全支配・支配関係・共同事業)に分かれるのは、支配が強いほど投資の継続が明らかで要件が少なく、支配が弱いほど要件が多くなるため
  • 全類型に共通する絶対条件が金銭等不交付要件であり、現金を交付すると原則非適格となる
  • 資本関係のない会社との合併では、最もハードルの高い共同事業要件を満たす必要がある
  • 非適格時の課税は手法により異なり、合併は資産の時価譲渡、株式交換は子会社の時価評価資産への課税として現れる
  • 非適格でも資本金の額そのものは減らない。実害は資本金ではなく、納税による資金流出にある。特に、課税により会社が債務超過に陥ると、経営管理ビザの更新審査における「事業の継続性」の判断(債務超過か否かが分かれ目)に影響しうる(株式交換では審査対象の子会社自身が課税される点に注意)
  • 適格でも繰越欠損金の引継ぎには制限がある
  • 会社法上の資本金計上と税務上の適格性判定は別の軸であり、両方を同時に設計する必要がある

適格・非適格の要件は数が多く複雑に見えるが、「投資が継続しているか」という一本の軸に立ち返れば、それぞれの要件が何のために存在するのかが見えてくる。

要件を暗記するのではなく、趣旨から理解することが、応用の効く実務知識につながる。

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